あなたにも咲かせられる!
プロが教える洋らんの育て方!
Dendrobium (SE Asian Native)
デンドロビューム(東南アジアの原種)
講師:やまはる園芸 河村賢治
どんな植物?
デンドロビュームは日本から中国、東南アジア、オーストラリアまで幅広く分布する着生蘭です。暑さにも寒さにも強いものが多いですが、カスバートソニーに代表されるニューギニアタイプのものは夏の暑さに弱いものもあります。
種類が多く同じデンドロビューム属の中でもさらに細かく分類されているのでバルブの形状や花形、花の着き方にもいろいろなバラエティーがあり、「えっ?これもデンドロなの?」と思うものがたくさんあるのも楽しみのひとつです。
ここでは下垂性のタイプ(ファーメリー、シルシフローラム等)をメインに東南アジア原産のものを紹介しようと思います。
置き場所
春、気温が上がってきて霜の降りる心配がなくなったら戸外に出します。風通しの良い所に出し、よく日光に当てます。いきなり天気の良い日に外に出すと葉焼けする事があるので、最初から強い光の当る所ではなく、だんだんと慣らしていくようにしましょう。
デンドロビュームは寒さにあたらないと花芽をつけにくい物が多くあります。寒くなってきても霜が降りる直前まで戸外でしっかり寒さに当ててください。
寒さに強く、凍らなければ大丈夫というものが多いですので、冬の間は室内の凍らない場所なら大体どこでも大丈夫です。目安としては最低温度が3~5℃以上あればよいです。ただし、寒い場合の水遣りは控えめにします。
日あたり
殆どの物が年間を通して明るい日差しを好みます。年間を通して直射~30%程度の遮光で大丈夫です。
真夏の水やりが十分出来ない場合はもう少し遮光率を上げましょう。また、ロデゲシーは夏の間は少し暗めの方がいいでしょう。
冬は強めの光線の方が花つきが良くなりますが、ガラス越しの直射だと葉焼けする事があるのでレースのカーテンを1枚引いたほうが良いでしょう。
水の与え方
乾いたらやると言うのが基本ですが、夏は水をたくさん欲しがります。夏の水が少ないとバルブが充実しないのでいい花が咲きません。夏の間は雨に当てても構いません。むしろしっかり雨に当てた方がバルブも充実してきます。
秋になったら段々乾きにくくなるので乾いたらやると言う事を繰り返します。ファーメリーやブロンカルティー(アマビレ)は秋の長雨にあたると新芽が腐ってしまう事があるので秋になったら雨よけをしてください。
冬はそれほど水を必要としないので2週間に1回くらいの水で平気です。あまり多いと根腐れの原因になります。花芽が出てきたら水遣りの回数を気持ち多くしてください。
肥料
着生蘭なので殆ど肥料を必要としません。油粕であれば5~6月に500円玉位ものを1個、液肥を使うのであれば2,000~3,000倍に薄めた物を2週間に1回程度、5~7月の間与えます。
どちらの場合も与えすぎると高芽が出たり、株ばかり出来て全く咲かなかったりという事になりますので注意してください。
病害虫
カイガラムシが葉の付け根に付く事があるので見つけたら柔らかい布で拭き取り、その後カイガラムシ用の殺虫剤を散布して退治しましょう。放っておくと病気の原因になることもあります。ハダニにも注意してください。葉の裏にハダニを見つけた時はすぐにハダニ用の殺虫剤を散布しましょう。
どの蘭でも同じですが、ナメクジが花を狙ってきたり、アブラムシが花の蜜を吸いに来たりするので注意しましょう。年に1~2回殺菌剤も散布するといいでしょう。
ワンポイント
原種のデンドロビュームはどのバルブにいつ花が咲くのか分からない物がたくさんあります。中には古いバルブにしか咲かないものもあるので、古くなったからといってすぐにバルブを切ってしまうといつまで経っても葉っぱばかり眺めている事になるのであまり早く切らないようにしましょう。
デンドロビュームが咲かない原因は肥料のあげすぎや寒さに当てていないことが殆どです。
1.なかなか咲かない場合はとりあえず肥料をやめてみてください。
2.それでも咲かない場合は寒さにしっかり当ててみる(霜にあたったり凍らせてはダメですが・・・)
3.それでも咲かない場合はお近くのJOGA加盟洋らん園で株を診断してもらいましょう。